Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

マツタケ施業林分の環境因子解析に関する研究 (第3報)シロ土壌の水湿状態と呼吸

石川 達芳 岡山大学
抄録
マツタケの菌帯(シロ)土壌の特長的性質を明かにするために,降雨に関連した土壌水分の動態および土壌呼吸について検討した.1.マツタケの代(シロ)における降雨と関連した土壌水分の動態は図1に示されるように特長的である.すなわち菌環及び菌環内側の土壌における吸水速度は菌糸の殆んど認められない菌環の外側の土壌の吸水速度より遅い.その上,菌環上および菌環の内側の土壌の保水力は菌環の外側の土壌の保水力より劣っておることは図2のpF曲線から理解出来る.例えば,野外における菌環土壌の水湿状態は僅か15%とか17%といった具合である.(pH価では4.00~3.65).このような不適当の土壌水分の状態ではアカマツの細根(寄主)は生育困難となり,衰弱してしまい,マツタケ菌糸も外側の新鮮な細根を求めざるを得ない.なんとなれば,アカマツの新鮮な根は菌環の内側では見出せ得ないからである.2.マツタケのシロにおけるCO2の量で測定した土壌呼吸の季節的変化は図4に示した.菌環上の土壌呼吸は他の場所の土壌呼吸より,より活発であった.菌環における季節的土壌呼吸に関して,CO2量はマツタケの子実体発生の季節に向ってたえず増加してゆく,しかしその後は急激に減少する.試験林で見られた菌環の土壌呼吸の多様性を図5に示した.菌環における土壌のCO2量は最高値に達し,菌環からの距離に比例して段々と減少する.その上,菌環の土壌呼吸の高いactivityはマツタケ子実体の発生と密接に関係し,それは菌糸の生長が旺盛且つ密生するという結果であると考えられる。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029