大気中浮遊粒子状物質は呼吸器系や心臓血管系に悪い影響を及ぼすことが知られているが、環境ナノ粒子の健康影響に関する科学的知見は不足している。本研究では環境ナノ粒子がグラム陽性菌性の肺の炎症反応に及ぼす影響を明らかにするために、模擬ナノ粒子である14nm、94nmのカーボンブラック(CB)粒子とグラム陽性菌細胞壁成分リポテイコ酸(LTA)をBALB/c系雄マウスの気管内に同時投与し、投与4時間後、24時間後における肺の炎症反応への影響について粒径間での比較検討を行った。その結果、CB粒子とLTAとの併
用は、肺に相加的あるいは相乗的な炎症反応を誘導し、その影響は14nm粒子の方が強くなる傾向が示された。