田中 淳太郎
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
妹尾 敏伸
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
松本 秀次
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
越智 浩二
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
原田 英雄
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
抄録
従来飲泉などの温泉治療は経験的知識にもとづいて行われる部分が多かったが,今後は科学的検査法を用いて有用性,適応疾患,適応病態,などを決定する必要がある。筆者らは,最近紹介された簡便な消化器検査法を用いて消化器疾患に対する飲泉療法の適応を再吟味しているので,これまでに得られた成績を中心に概説した。すなわち,(1)飲泉は1回でも連日の飲用でも,胃粘膜血流を改善する作用がある。(2)胃排出機能に対しては調整的効果を有する。(3)連日の飲泉は膵外分泌機能を改善する。したがって慢性の胃,膵疾患において粘膜血流障害,胃運動機能異常あるいは膵外分泌機能低下に起因する病気・病態に対しては積極的に飲泉療法を試みるべきである。温泉水の温度は40℃前後,飲泉の量は150~200ml,タイミングは食間空腹時がよい。
キーワード
飲泉療法 (Spa-drink therapy)
消化器機能 (Digestive function)
胃粘膜血流
胃排出能
膵外分泌
胆嚢機能
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