Journal of Okayama Medical Association
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酵素抗体法による胃癌組織内collagenaseの検索

筒井 保太 岡山大学医学部第一外科学教室
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抄録
胃癌が発育進展するとき,あるいは潰瘍が進行,治癒するときには病巣及び病巣周囲の間質結合織はそれに伴い崩壊する一方,増生もしてくる.この間質の変化は,結合織崩壊に働く因子と増生に働く因子の均衡によっている.結合織崩壊の因子の中で最も重要なものの一つとして,生理的条件下でcollagen分子を特異的に分解するcollagenaseがあげられる.浸潤しつつある癌の先進部では,癌細胞より分泌されたcollagenaseを主とする蛋白分解酵素が間質を破壊し,その間隙を癌細胞が拡がって行くと考えるのが妥当であろう.すでに胃癌浸潤とcollagenaseの関連について,胃癌組織各部のcollagenase活性を計測し,癌先進部で最も活性が高く,胃癌の進展にcollagenaseが関与しているとの報告がある.しかし,そのcollagenaseが胃癌細胞から分泌されているのかという最も興味ある疑問に答えることはできていない.著者はcollagenase抗体を作製し,免疫組織学的方法(酵素抗体法)を用いて,胃癌組織内におけるcollagenaseの局在を検索した.その結果collagenaseは間質側に多く存在するが,癌細胞内にも存在することを確認した.また胃癌を組織型別,深達度別,浸潤様式別等に分類し,各組織でのcollagenaseの局在を検索し,これらの結果や他の報告をも含めて,胃癌の進展にcollagenaseがどのように関与しているのか考察した.更には対照組織として正常ヒト皮膚,胃潰瘍,大腸癌を検討し,各組織におけるcollagenaseの局在と免疫学的組織特異性の有無も検討した.
キーワード
胃癌
collagenase
酵素抗体法
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489