Journal of Okayama Medical Association
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非ヒストン蛋白質およびH1ヒストン除去のクロマチンの鋳型活性とヌクレアーゼ消化性への影響

入澤 實 岡山大学医学部癌源研究施設生化学部
池田 正五 岡山大学医学部癌源研究施設生化学部
小田 琢三 岡山大学医学部癌源研究施設生化学部
Thumnail 94_721.pdf 1.12 MB
抄録
真核細胞のクロマチンは,DNA,ヒストン,非ヒストン蛋白質の複合体であり,その基本構造は,4種のヒストン(H2A,H2B,H3,H4)の各2分子が会合した8量体(ヒストンコア)にDNAが約1.75回巻きついたヌクレオソームコアが連結DNAで数珠玉状に連なったヌクレオソーム構造の繰り返しであることが知られている(1)).またH1ヒストンはヌクレオソーム間の連結DNAに,クロマチンを折りたたむようについていると考えられている(2,3)).非ヒストン蛋白質の分子種は数百にも及び,生物種や細胞分化の過程で特異的な変化を示すことからDNAやRNA合成の調節の主役をなすと考えられている(4~6)).ヒストンと非ヒストン蛋白質を選択的に核またはクロマチンから除去することによるクロマチンの形態変化の電顕観察(7)),転写鋳型活性への影響(5,6,8,9)),micrococcal nuclease消化への影響(10~12))を研究することにより,ヒストン,非ヒストン蛋白質の機能の研究がされている.特にH1ヒストン除去によるクロマチンの構造と機能の変化の研究がよく行なわれている.これらの研究でH1除去の転写活性に与える影響については,促進的に働くとする報告(6,9))とH1除去では影響なくクロマチンにH1を添加することにより転写活性を抑制できるとする報告(8))とがある.またH1除去のmicrococcal nucleaseによるクロマチンDNAの消化に与える影響についても,消化DNA断片の大きさに変化があるという報告(10))とDNA断片の大きさに変化はなく,単にヌクレアーゼ感受性が高まるだけであるとする報告(11,12))とがある.本研究は,塩(NaCl)処理によりクロマチンからH1ヒストン,非ヒストン蛋白質を除去し,それによるクロマチン構造と機能の変化を転写鋳型活性とmicrococcal nuclease消化性の面から研究した.
キーワード
クロマチン
RNAポリメラーゼ
ヌクレアーゼ
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489