Journal of Okayama Medical Association
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クロルピリホス使用シロアリ防除作業者の血中コリンエステラーゼ活性値の変動について

實成 文彦 香川医科大学人間環境医学講座
浅川 冨美雪 香川医科大学人間環境医学講座
中嶋 泰知 香川医科大学人間環境医学講座
島田 潤子 前田病院
緒方 正名 岡山大学医学部公衆衛生学教室
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抄録
1986年9月よりシロアリ防除剤として広く使用されだしたクロルピリホス(有機リン系殺虫剤)のシロアリ防除作業者への健康影響を明らかにするために,シロアリ防除事業所の従業員8名について追跡調査を行い,以下の結果を得た. 1.処理作業従事者(6名)の毎月初めの平均血漿コリンエステラーゼ活性値は1987年4月までは正常範囲であったが,シロアリ防除シーズン(繁忙期)の5月より低下を始め, 6月~9月は正常値の下限(0.6ΔpH)以下であった.その後閑散期には回復に向かい, 1988年1月にはシーズン前の水準に戻った.各作業者においては,シーズン中の最低値は,シーズン前の水準(1986年11月~1987年4月の各人の平均値)の50%以下であり,うち2名は10%以下にまで低下した.一方,主として営業従事者の2名の血漿コリンエステラーゼ活性値はシーズン中にやや低下したものの正常値の範囲内であり,シーズン中の最低値もシーズン前の水準の60%以上であった. 2.赤血球コリンエステラーゼ活性値は, 1987年6月から1988年1月まで8名とも正常範囲であったが, 6~9月は低く, 12月及び翌年の1月は高値であった.前者の期間における各人の平均値の後者の期間における各人の平均値に対する割合は, 8人の平均で72.2%であった. 3. 1作業者の観察において,シーズン中の処理作業従事時間数と血漿コリンエステラーゼ活性値の増加率との間には有意の負の相関が認められ, 1日の時間数が2時間で血漿コリンエステラーゼ活性値は横這い,それ以上で低下,それ以下で上昇することが明らかになった. 4.作業者の自覚症状,他覚症状には顕著な異常は認められていない.作業者によっでは赤血球数および白血球数の若干の低下,血清脂質およびリパーゼの異常等が認められており継続観察の必要がある. 5.血漿コリンエステラーゼ活性値はクロルピリホスの生物学的暴露指標として鋭敏であり,クロルピリホスによる健康障害の予防のために有用である.
キーワード
クロルピリホス
シロアリ防除作業者
有機リン中毒
コリンエステラーゼ活性値
生物学的暴露指標
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489