Journal of Humanities and Social Sciences
Published by Graduate School of Humanities and Social Sciences Okayama University

<Formerly known as>
岡山大学大学院文化科学研究科紀要 (1号-21号)

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Cubic Splineモデルによる都心部の人口空洞化現象の検証 : 岡山市の例

李 倢 岡山大学
抄録
都市内の人口密度分布は、都心からの距離に応じて逓減することが経験的に知られている。そして、都市内の人口密度分布を説明する関数形の大半も、人口密度が距離に関して常に一定割合で逓減する負の指数関数(Negative Exponential Fynction)モデルを基本的には仮定している。 しかし、経済発展にともなう都市化の過程では、既存都市への人口集中によって、都市の外延部の未開発地域が都市地域に組み込まれ、都市地域が連続的に拡大する郊外化現象が現れる一方、都市の郊外化にともなう都市部の人口流出が多く見られる。これは都心部における居住密度が低下する都心部の人口空洞化、いわゆる人口密度分布のドーナツ化現象である。 このような最近の都市の空間構造を考えると、伝統的でかつ単純な負の指数関数モデルでは人口密度分布を十分に説明できないことになる。そこで、本論文は、Anderson(1982,1985)によって人口密度分布の推定に適用された三次関数を基本とするCubic Spline関数を用いて、都市の空間構造を反映できるモデルの定式化を試みる。それによって、最近の都市空間における人口密度分布を精緻に描くことが期待できる。 Cubic Spline関数を用いて人口密度分布を推定する際に、Alperovich(1995)は、節点の位置と区間の数を決めるには一般的な基準がなく、外生的に決められているのがSpline関数の固有の限界であることと、推定されたモデルの係数のt-値と決定係数が極めて低いことを指摘している。本論文では、Cubic Spline関数の基本形を用いることによって、任意に決められた節点の位置と区間の限界を回避する方法を模索しながら、人口密度分布への応用を試みる。 これまでのCubic Spline関数を用いた実証研究では、研究対象が大都市圏となっている。それらの研究によると、大都市においては都心部の人口空洞化現象が明らかになっている。しかし、都心部の人口空洞化現象が大都市固有なものであるか、あるいは都市の発展にともなって発生する現象であるかを検討する必要がある。本論文は、地方中核都市である岡山市を事例として取り上げ、岡山市における常住人口密度の空間分布の分析によって、都市発展の形態を究明することを目的とする。 現実の都市においては、地質上の差異、方向別に開発進度が異なっていることがしばしば見られる。そのため、人口密度が都心を中心に同心円に分布しているのではなく、都心からの方向別によって、異なる形状を呈している。ここでは、北東、北西、南西、南東の4つの方向別に、それぞれ1970年と1995年の2時点でモデルを推定し、岡山市における25年間の空間構造の変化について考察する。それによって、都心部の人口空洞化現象(並び人口の郊外化現象)を明らかにし、方向別による開発パターンの違いを検証する。 最後では、都市の空間構造における人口密度分布と密度分布における変化の要因の分析について、研究方向および問題点を述べる。
キーワード
Cubic Spline関数
人口空洞化現象
岡山市
NCID
AN10487849