Bulletin of Faculty of Health Sciences Okayama University Medical School
Published by Faculty of Health Sciences Okayama University Medical School

<Formerly known as>
岡山大学医療技術短期大学部紀要 (1巻-9巻)

放射線治療時の治療患部外散乱被曝線量に関する研究

川辺 睦 岡山大学大学院保健学研究科保健学専攻修士課程
中桐 義忠 岡山大学医学部保健学科放射線技術科学専攻
小橋 一輝 兵庫県立淡路病院
安村 直樹 津山中央病院
山下 剛央 岡山大学医学部保健学科放射線技術科学専攻第一期生
後藤 佐知子 岡山大学医学部保健学科放射線技術科学専攻
丸山 敏則 岡山大学医学部保健学科放射線技術科学専攻
澁谷 光一 岡山大学医学部保健学科放射線技術科学専攻
杉田 勝彦 岡山大学医学部保健学科放射線技術科学専攻
抄録
現代の医療のなかで癌治療において不可欠な存在となった放射線治療。一方,放射線被曝はたとえわずかであってもリスクが伴い,厳しく規制されている。ただし医療被曝はこの限りになく,過去においては癌患者に放射線治療をおこなう際の患部以外の被曝についてはあまり問題視されなかった。これには癌の治療という前提に加え,長期生存の可能性が低く,存命中に晩発障害が発生することが低いと考えられていたからである。しかし,集学的治療が確立した今後の放射線治療においては完治する放射線治療患者が多くなり,治癒後の余命が長くなることが予測される。放射線被曝による確率的影響は閾値がなく,影響は当然現れるであろう。そこで,放射線治療をおこなう際の患者の散乱線被曝線量,治療室内散乱線量,さらに高エネルギー放射線発生装置を取り扱うときに問題となっている中性子を測定した。その結果,測定線量は治療患部外被曝,室内散乱線量ともに無視できない量であることがわかった。中性子については,人体に影響がある線量は検出されなかったが,中性子の存在は室内物品の放射化の可能性を示唆するもので定期的な測定管理が必要である。また,Ⅹ線撮影室用の防護衣による散乱線被曝の低減効果は放射線治療室では無意味であった。
キーワード
散乱線被曝 (Exposure of scattered rays)
中性子 (Neutron)
放射線治療 (Radiotherapy)
確率的影響 (Stochastic effect)
ISSN
1345-0948
NCID
AA11403004