ドイツ・ザクセン邦のグルントシューレと東ドイツのオーベルシューレ (第 1-4学年)とに焦点を当て,いわば学校教育法,学習指導要領などの比較考察から,ドイツにおける初等教育段階 (通算呼称第 1-4学年)の物理教育の変遷を明らかにした。物理教育がなされている可能性のある部分は.教科ドイツ語における領域郷土科の学習分野「自然に関する知識一自然観察」から教科事象教授の学習分野「無生命自然の現象との出会い」に換わり,東
ドイツでは気象分野はなされていたが,ザクセン邦に至って,気象分野以外に,物理学の幾つかの分野 (光,熱,静力学など)も扱われるように変化し,気象分野が物理学の一分野でないと考えれば,初等教育段階で物理教育がなされるよう変化したといえる。初等教育段階の物理教育の概念・構造においては,物理学の分野に気象分野を含めるかどうか,どのような分野を必須と見なすかが問題となる。