Bulletin of the Field Science Center, Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by Field Science Center, Faculty of Agriculture, Okayama University

<Formerly known as>
岡山大学農学部農場報告 (1号-23号)

水稲における無代掻き作溝直播栽培法に関する研究 第1報作溝幅・湛水方法による生育収量の相違

齊藤 邦行 岡山大学
石村 亮 岡山大学
黒田 俊郎 岡山大学
抄録
本試験はこれまでの直播栽培法の一層の省力化,安定性,多収性および低コスト化を目的として実証試験を行った。栽培方法は,水稲品種アキヒカリを供試し,10a当たり4.5kgの種子を,無代掻きの作溝区(幅30cm深さ11cm,幅20cm深さ9cm)と無作溝区を設け,湛水後播種した。また,作溝区(幅30cm深さ11cm)に播種後湛水する区と,移植区を設けた。(1)覆土効果は,作溝幅においては20cmより30cmが,また湛水後播種より播種後湛水の方が大きかった。(2)出芽率および苗立ち率は,湛-播30cm区と湛-播20cm区で高く,播-湛30cm区で低かった。(3)草丈は各区ともほぼ同様に推移し,最終的にいずれの直播区も移植区に比ベ10cm以上低くなった。最高分げつ期および出穂期は湛水後播種区で移植区に比べ早まる傾向があった。最高分げつ期茎数は出芽率および苗立ち率と同様な傾向を示した。(4)穂数および精玄米重は出芽率および苗立ち率と同様な傾向を示し,湛-播30cm区>湛-播無作溝区>播-湛30cm区の順に高く,精玄米収量は出芽・苗立ちに起因した穂数が著しく影響したと推察された。湛-播30cm区では,移植区に匹敵する精玄米収量が得られた。また直播区と移植区の収量構成要素を比較してみると,移植区では穂数と一穂粒数が高かったのに対し,直播各区では登熟歩合と精玄米千粒重が高かった。(5)以上の結果,湛水後播種を行うことにより,高い苗立ち率が得られ,収量の安定性が確保された。播種後湛水を行った場合,種子深度が大きくなって苗立ち率が低下し,収量は低下した。しかし,覆土効果が高く,出芽・苗立ちの不安定性が克服されれば,倒伏抵抗性の観点からも有効であると考えられた。
ISSN
0910-8742
NCID
AN00149012