Bulletin of the Field Science Center, Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by Field Science Center, Faculty of Agriculture, Okayama University

<Formerly known as>
岡山大学農学部農場報告 (1号-23号)

津高牧場における受胎率の向上とその要因

井上 良 岡山大学
岸田 芳朗 岡山大学
斉藤 克己 岡山大学
山奥 隆 岡山大学
野久保 隆 岡山大学
工藤 久美寿 岡山大学
抄録
津高牧場における和牛の繁殖障害について,すでに発表した昭和60年までの成績と,その後,平成1年度までの成績について検討を加え,繁殖成績不良の様相をとりまとめ,その要因について考察を加えた。すなわち,牧場開設当初の昭和52年までを除いて,著しく低かった受胎率が昭和63年から平成2年度になっていくぶん向上した。しかし,向上しても初回授精の受胎率は41%余であり,低受胎の状態が続いている。また,受胎率不良期について月別に受胎率を集計すると,11月から4月までの受胎率が比較的高く,他の月は不良で従来から推定されてきた季節変化が認められた。繁殖牛の発情周期は昭和53,54年度を除いては22日余であり,大きな変化が認められなかった。正常産子の性比は昭和53~56年は雌の比率が高く,57年以降は雄の比率が高かったが性比が異常であるという結論はえられなかった。正常産子の生時体重と在胎日数を子牛の性別と母牛の産次について集計すると,産次が進むと生時体重が大きく,在胎日数が長期化し,雄子牛は雌子牛よりも生時体重が大きかった。そこで,性別と産次で補正した生時体重について年度別比較を行うと,昭和53,54年と,58年に小さく,また全体に年次の経過とともに大きくなっていることがわかった。生時体重の向上した原因の一部は交配父牛の影響であるが,主な原因は牧場内の環境改善にあると維諭された。また,母牛の産次で補正した在胎日数は289日前後で,年次の経過とともに短縮する傾向があったがその差はわずかであり,和牛全体に妊娠期間が長期化していることから,この在胎日数は正常範囲にあると推測された。これらの結果から,津高牧場の繁殖成績異常は,受胎率の低いことと,子牛の生時体重の小さいことであるが,このいずれもが最近になって向上してきたといえる。しかし,その変化の状態から,生時体重の向上には主として牧場内の環境条件改善,受胎率の向上には上水道の設置による牛の飲用水の変化が関与しているのではないかと推論された。
ISSN
0910-8742
NCID
AN00149012