Bulletin of the Field Science Center, Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by Field Science Center, Faculty of Agriculture, Okayama University

<Formerly known as>
岡山大学農学部農場報告 (1号-23号)

干拓新田の水管理にもとづく土壌の変化、作物の生育収量との関係に関する調査研究

米田 茂男 岡山大学
下瀬 昇 岡山大学
河内 知道 岡山大学
抄録
児島湾沿岸に位置する吉井川右岸より児島湾干拓地七区に至る地域を対象として、水管理にもとづく土壌の変化と作物、主として水稲の生育収量との関係を明らかにして、今後のかん排水管理の方法を検討し、樋門、揚排水ポンプの設置や改善に対する基礎資料を作成する目的で、51カ所の土壌調査、農家における聞取り調査、および採取土壌および地下水について分析を行い、大略次のような結果を得た。吉井川右岸の岡山市西大寺に属する地域から、岡山市南部にわたる地域では、土性が多種多様であり、吉井川、旭川中間地帯では海底泥土の客土も多く、樋門による自然排水を主としているため高位部に位置する地域は排水の効果は良好であるが、低湿地は排水不良となる所が多いため、水管理、とくに間断かんがいの効果としての水稲収量への結びつきははっきりせず、肥培管理等の栽培技術の良否が水稲収量に及ぼす影響の方が大きいことを認めた。しかし、調査地点中No. 10, 14, 21, 22等の地点では間断かんがいの効果が認められ、また間断かんがいを行えば改良し得るであろうと考えられた地点も存在した。児島湾干拓地六区および七区では、土性も下層土まで軽埴土(LiC)系の地点が多く、間断かんがいも効果的に行われており、主として開田年次と土壌改良効果との関係が明確に現れていた。なお、一般に土性は吉井川近辺より西部に移るにつれて次第に重粘性に変化し、吉井川近辺では粗砂壌土(CoSL)系が多いが、岡山市南部では壌土系、六区では軽埴土(LiC)七区ではさらに重い軽埴土(LiC)~重埴土(HC)に変化していた。便宜上岡山市西大寺南部地域、岡山市南部地域、六区地域、七区地域に分類して結果を要約すれば次のとおりであった。 (1)岡山市西大寺南部地域本地域では試抗を行った地点の大部分は客土地であり、また土性が千差万別であるため水管理の良否による効果の判定は困難であったが、水稲収量差よりみて間断かんがいの効果が現れたとみるべき地点が数地点存在し、また周辺部に客土したため、かつての一等地が排水不良となり、A-G型に還元し、硫化物の生成が認められ、収量が著しく減少した地点があった。(No. 5地点)このことは地形に由来する水管理の不良性が土壌の性質を悪変した例であろう。 (2)岡山中南部地域旭川左岸の三蟠、沖田地区は岡山市西大寺地域と同様であったが、右岸の浦安地区(三、五区)では土性も比較的均一で、表土は埴壌土(CL)ないし軽埴土(LiC)の地点が多く、土層の分化は発達し、水管理の方法も大体において的確で、水稲収量も安定し、420~450kg/10aのところが多かった。 (3)六区地域土性は軽埴土(LiC)系のものが多く、作柄は安定し、大体水管理も当を得ているが、笹ヶ瀬川周辺部にやや低湿地が残存し、収量もやや低く、今後の適切な水管理を必要とする地帯が見られた。なお、本地域は開田後10余年を経過しているが、調査の結果、堆きゅう肥の施用が一部において行われているにすぎない。水稲収量の増加をはかるには今後地力の維持に努めねばならない。 (4)七区地域当地域はA,B,C,Dの地区順に開田年次が新しくなり、A地区では六区に似た状態であり、B地区では最近ようやく高収量が得られるようになりつつある。C,D地区は若年期土壌で、土層の分化は発達せず、塩化物、硫化物が多く、今後の適切な水管理と、土壌改良の必要性が痛感された。
ISSN
0910-8742
NCID
AN00149012