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ID 9656
Eprint ID
9656
FullText URL
Author
Inada, Toshinori
Abstract
歌僧正徹(永徳元年~長禄三年)に「なぐさめ草」と称する紀行分が現存する。この作品は、東国旅行を思い立った正徹が、応永二十五年(一四一八)春三月末に都を浮かれ出て、やがて逢坂の関を越え、近江・美濃から尾張の黒田を経て、さらに清須に滞在、土地の翁や越の国へ旅する途中の童形達との談話や「源氏物語」談義などの様子を綴ったもので、同年六月頃までで閉じられている。「なぐさめ草」の伝本には、扶桑拾葉集本、これをもと系統と松平文庫本系統に大別される。前者に属する伝本には、扶桑拾葉集本、これももとに転写したとおぼしき群書類従本、祐徳神社寄托中川文庫本(「桑孤」収録 )などのほか、やや系統を異にするが、早稲田大学図書館本も、この系統に属している。これに対して、松平文庫本系統は、島原市立図書館松平文庫本のみの孤本である。両系統を比較してみると、その本文異同は、書写階梯における誤写で生じたのではなく、大幅なものである。これは作者自身の推敲、追加などを考慮に入れなければ説明のつかない性格の異文で、両系統は初稿本と再稿本とに位置する伝本と思われる。この点に関しては、すでに拙稿「正徹の「なぐさめ草」の諸本と成立」(岡山大学教育学部研究集録、第四十九号、昭和五十三年七月)で実証したように、扶桑拾葉集本系統の方が初稿本の姿を伝え、松平文庫本系統は、その後、作者自身が用例の追加や表現の削除、推敲、和歌の差し換えなどの手を加えた再稿本とみなされる。今回行なう、この「なぐさめ草」の注釈は、再稿本の松平文庫本を底本に、扶桑拾葉集本系統との校合をもって校訂本文を作成し、その語釈、通釈を企図するものである。なお、島原市立図書館松平文庫本の「なぐさめ草」の書誌は以下の通りである。縦二七・五糎、横二〇・一糎。袋綴写本一冊。表紙は薄青色下地に唐草模様入り。題簽は左肩に「慰草」と貼付。本文料紙は斐紙。一面は一〇行書き、和歌は一首一行書き。墨付一八丁。江戸初期頃の書写本で、松平文庫本が多くの写本にある「尚舎源忠房」「文庫」の蔵書印で巻尾にある。なお、この「慰草」は、三浦三夫氏の手で翻刻されている(「慰草(松平文庫本)」、昭和四十四年三月刊。私家版)。
Published Date
1990
Publication Title
岡山大学教育学部研究集録
Publication Title Alternative
Bulletin of School of Education, Okayama University
Volume
volume84
Issue
issue1
Publisher
岡山大学教育学部
Publisher Alternative
Faculty of Education, Okayama University
Start Page
11
End Page
23
ISSN
0471-4008
NCID
AN00032875
Content Type
Departmental Bulletin Paper
Related Url
http://eprints.lib.okayama-u.ac.jp/9631/
http://eprints.lib.okayama-u.ac.jp/9594/
language
日本語
File Version
publisher
Refereed
False
Eprints Journal Name
bgeou