Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

ラッテ及びモルモットの子宮のin vitro自発運動に対するRelaxin Preparationの抑制効果

Wada, Hiroshi
Yuhara, Masataka
Abstract
繁殖生理上に於けるRelaxinの意義を知るために,ラッテ及びモルモットの子宮を用い,その in vitro自発運動に対するRelaxinの効果を研究した.Guanidyl基がRelaxinの生物学的活性に対する必須要素であることが知られているので子宮運動に対するArginine及びGuanidineの影響の研究も行つた. 1)使用動物は卵巣剔出後,ラッテでは少くとも12日,モルモットでは3ヶ月以後に精製胡麻油溶のEstradiol monobenzoateの注射(ラッテは1日3γ,3日間;モルモットは1日3γ,4日間)で発情させ,その翌日,これらの動物の子宮を剔出し,直ちに冷Locke'sまたはTyrode's solutionに浸し5時間以内に供試した.37℃の恒温水槽中に保定し,酸素を通じたLocke'sまたはTyrode'sを入れたガラス容器中に子宮片を入れ,それをMagnus装置の筆桿に結び付け,1.59の張力のもとに,その等張的運動をKymographの煤煙紙上に記録した. 2) Relaxinは子宮筋の弛緩を起してラッテやモルモットの子宮の自発運動を種々の程度に抑制する.0.025GPU/ccの濃度でも相当の効果を示したが0.05GPU/ccの濃度では,その効果は一層著しかつた.用量の増加につれ一層の抑制が観察せられた.然しながら,その効果は子宮の状態によつて異るので閾値を一概に定めることは出来なかつた.時には大なる用量であるにもかかわらずRelaxinは期待せられる子宮の攣縮を抑制し得ないことがあつた.一般に攣縮開始後の時間が長くなるにつれて,Relaxinに対する子宮の感受性は小さくなつた. 3) Relaxinの種々の用量による子宮の運動の型は概略,次の3つに分けられた.然しながらモルモットの子宮運動はやや不規則であつた. A:攣縮高が種々の程度に低減する. B:正常頻度をもつた低い鋸歯状攣縮の略々一定の間隔で正常の1個(稀に2個)の攣縮が観察せられる. C:攣縮は無く子宮は完全に弛緩し動かない. 4) Relaxinで弛緩した子宮も電気刺戟に反応した.攣縮を生ぜしめる電気刺戟の閾値はRelaxinの効果の増すにつれて高まつた.これらの反応は現われる攣縮の状態により次の3つに大別された. (i) 1刺戟で1(稀に2)攣縮が現われる. (ii) 1刺戟で数個またはそれ以上の攣縮が現われ間もなく攣縮は止む. (iii) 刺戟を機に攣縮が現われ漸次もとに復帰する. 5) Guanidine(塩酸塩)は子宮の攣縮の頻度を増したが,然し大量に於ては子宮運動に対しOxytocicな作用さえも示した.Arginine(塩酸塩)は子宮に対し何の効果も示さなかつた.これらの結果から子宮運動に対するRelaxinの抑制効果は単なるGuanidyl基によるものではなくRelaxinそのものの効果によるものである. 6) Relaxinは腸のin vitroな運動に対しては評価すべき効果を示さなかつた.従つてRelaxinは一般的な平滑筋鎮静物質ではないように思われる。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029