Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

薄荷の育種学的研究 第3報 日本薄荷の人為倍数体

Ikeda, Nagamori
Konishi, Takeo
Abstract
1.日本薄荷「赤茎」の幼苗の生長点をコルヒチン処理して人為倍数体植物を育成した.その処理個体の自殖による第2代植物3個体について形態並びに生理的形質の調査と核学的観察を試み,母本,日本薄荷のそれと比較した. 2.育成倍数体は細胞,組織,器官において巨大性を示したが,生育が遅れ,開花初は9月末乃至10月初で,母本,日本薄荷より約1ヶ月遅れた。3.母本,日本薄荷は 2n=96,MIで48IIを示し,成熟分裂は正常,4分子の形成にも異常はなかつた.育成倍数体は2n=192,n=96でMIには2価染色体の他に8~14個の4価染色体が認められ,そのmodeは10であつた.併し核分裂に異常なく,正常な4分子を形成した. 4.成熟分裂及び4分子形成が正常であるにかかわらず,完全に発育した葯中の稔性花粉の割合は,母本,育成倍数体共に50~60%で大差なかつた.併し完全葯の出現頻度は,倍数体では母本に比べて非常に少かつた.受精率も母本に比べて低かつた. 5.育成倍数体の種子の発芽率は,母本,日本薄荷のそれと大差なかつたが,発芽には約3倍の日数を要した. 6.薄荷属は12を基本染色体数とする.日本薄荷は8倍体,而も種々の点から異質8倍体と推定する理由がある.従つて筆者等の育成した倍数体薄荷は16倍体と考えられる. 7.育成倍数体茎葉の精油含有率及び精油中の遊離メントール含有率は,これを直ちに利用出来る程の高い価を示さなかつた.併し此の方法による育種の可能性は十分に認められた。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029