Journal of Okayama Medical Association
Published by Okayama Medical Association

<Availability>
Full-text articles are available 3 years after publication.

ヒスタミン脳内投与による鎮痛作用発現について

Okada, Ikuo
Thumnail 94_471.pdf 1.69 MB
Abstract
中枢神経系に関するcatecholamine(CA)や5-hydroxytryptamine(5-HT)の生化学的及び薬理学的研究に比較すると,Histamine(Hi)の中枢作用は最近急速に注目を浴びてはいるが,まだ充分には理解されていない.しかし,哺乳動物の中枢神経系内におけるHiの分布は,CAや5-HTと極めて類似し,特に下垂体や視床下部には高濃度に分布する事が知られており(1)),Hiも中枢神経系においてneurotransmitterまたはneuromodulatorとしての役割を果している可能性は高いと考えられている(2)).Feldbergら(3))は,無麻酔ネコの側脳室にHi 100μg/bodyを注入した際,ネコの活動性が低下し,傾眠や筋力低下が観察される事を報告している.最近,Nowakら(4))はHiをラット脳室内に投与した際,運動量の低下やcatalepsyの発現がみられる事を報告している.また,ラット脳室内へのHi投与後に,動脈血圧が上昇する事も知られている(5)).マウスの場合には,Hiの脳内投与後体温下降が誘発される事が報告されている(6)).このようにHiの脳室内投与が,動物の行動,体温,血圧等に影響を与える事は知られているが,Hiが鎮痛効果を誘発し得るか否かについて検討された報告は見当らない.Hiをヒトに静注すると,搏動性の頭痛が誘発され(7)),皮内注射では局所の疼痛を惹起する事(8))が知られている.しかし, Sanuki(9))は,マウスにHiの大量を皮下注射したところ,鎮痛効果がみられたと報告している.Hiをマウスの末梢側に非経口投与した際発現する種々な中枢作用には,脳内にとりこまれたHiが関与している可能性が報告されている(10,11))ので,Sanukiの実験でも末梢側に投与された大量のHiの一部が中枢神経系に移行し,鎮痛効果を発現している可能性は否定できない.著者はマウス脳内にHiを投与した際,鎮痛効果と可成り密接に相関すると考えられる仮性疼痛反応に対するHiの効果を調べると共に,morphineやその関連物質の前処置がHiの効果をいかに修飾するのかを調べ,Hi鎮痛効果発現の機序についても検討した.また,Hiの鎮痛効果がH(1)またはH(2)-receptorのいずれとより密接に相関するのかについての検討も併せて行なった.
Keywords
ヒスタミン
鎮痛作用
脳内投与
モルヒネ
抗ヒスタミン剤
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489