Published by 岡山大学埋蔵文化財調査室 / 岡山大学埋蔵文化財調査研究センター

津島岡大遺跡 10 第9次調査 工学部生体機能応用工学科棟新営予定地

小林 青樹
Abstract
(序文) 本報告書は、岡山大学工学部生体機能応用工学科棟建設工事に伴い、1992年度に実施した発掘調査(津島岡大遺跡第9次調査)の成果をまとめたものである。 工学部校舎については1988年度に生物応用工学科棟と情報工学科棟 の建設地を調査しており、今回調査地が前者のすぐ東側に接する位置にある関係上、遺跡の内容にも共通した点が多い。  縄文時代後期の河岸では10基のドングリ貯蔵穴を発見した。生物応用工学科棟発掘地のものをあわせると23基になる。大学院自然科学研究科棟やサテライトベンチャービジネスラボラトリー(旧男子寮予定地)発掘地の後期・晩期の事例を含めると、津島キャンパス東北部には69基以上の貯蔵穴が集中していたことになり、近傍に相当な規模の集落があったことが想定できる。 津島キャンパス東北角のすぐ外側には朝寝鼻貝塚の存在が早くから知られていたが、1997年に岡山理科大学が発掘調査を行い、貝塚の詳しい内容がはじめて明らかにされた。こうした調査の成果もふまえ、本学キャンパスの縄文時代遺構の意義を考えていく必要がある。  古代の東西大溝は、西方約500メートルの附属図書館発掘地の大溝に連続するもので、岡山平野の条里制水田区画に関係したものである。この大溝のやや北側に、古墳時代後期の東西溝が平行してのびていた。先行条里の可能性を含み、方格水田区画の形成過程をたどるうえで、全国的にも重要な意義をもつと考えられる。  発掘調査の実施にあたっては、当時の河野伊一郎工学部長をはじめ工学部および事務局等の関係各位から種々の協力と激励をいただいた。報告書の刊行に際し、あらためてお礼申しあげる次第である。
Note
図版20p