不安障害における自動的処理を検討する研究において,注意バイアスが不安を維持し,また,不安障害を進行させることが指摘されている。近年の研究では,高不安者は脅威刺激から注意を解放することに問題があることが明らかにされている。そこで,本研究では情動空間的手がかりパラダイム(Fox, Russo, Bowels, & Dutton,2001)を用いて,脅威語からの注意の解放に特性不安の高低が及ぼす影響について検討した。課題では,画面中央に手がかり刺激(ネガティブ語,ポジティブ語,ニュートラル語)が提示された後,刺激の周辺に提示されるターゲット刺激を判断することが要求された。その結果,高不安者は低不安者よりも反応時間が全体的に長かった。