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ID 12379
Eprint ID
12379
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Title Alternative
Reforms of Policy−based Financial Institutions Directed at Small and Medium Sized Enterprises in Japan
Author
Abstract
In Japan today, public financial system or policy−based financial institutions are under drastic reforms. For a better implementation of the reforms, this paper proposes new rules in which state owned institutions can complement the roles of private financial institutions for small and medium sized enterprises. In the rules, and in view of the actual situation in Japanese financial system, direct loans of policy−based financial institutions ought not to be abolished. Instead, they should be limited to such cases as private institutions can’t judge future result of their lending due to their screening ability which is lower than that of policy−based financial institutions. Concerning credit insurance activities, easy promotion of policy−based financial institutions’ securitization support or guarantee activities should be avoided. This is becanse it would bring about much danger of losses than the case of housing loan because of its more complicated screening process.
Abstract Alternative
現在日本において,公的金融あるいは政策金融の抜本的な「改革」が進められている。西垣(2003)およびNishigaki(2006)では公的金融全般について,改革が行われる必然性と改革の在り方を考察した。本稿では特に中小企業を対象にした政策金融に限定した考察を行う。中小企業政策金融においてもやはり鍵となる概念は情報生産である。現代金融理論の常識からすれば,情報生産なくして正常な金融活動はあり得ない。不良債権問題に象徴される金融仲介不全は,原理的には,情報生産に何らかの障害があり,非対称情報が解消されないために生じる。不況やデフレ経済といった外的要因は損失を増幅するが,根本の原因ではない。2007年夏のサブプライムローン・ショックは,金融仲介の本質を説明するには良い例である。元々信用力の低い個人に無審査で,それも不適切な金利で融資を実行したのだから,証券化や債務保証を施したところで,損失は必ず誰かが負担しなければならなくなる。本来リスク分散(=低減)機能を持った証券化装置が,リスクを 分散する(=撒き散らす)働きをしたのである。わが国の政策金融が,現在進めている「改革」によって,アメリカのように債務保証や証券化支援といった信用補完に活動の中心を移したとしても,補完を受ける民間金融機関サイドの情報生産に問題を残したままならば,金融システム全体としては改革されたことにはならない。戦後日本の金融システムは,急速な経済復興,経済成長の時期に企業部門の慢性的赤字を効率よく埋めることを目的に構築された。そこで特に成長産業に資金を効率よく供給するため,統制のとれやすい銀行中心のシステムが選択された。しかし,民間金融機関の資金供給能力が限定的で,政府が民間金融機関のリスクテイクを望まなかったことから,公的金融部門に多くの期待が寄せられることになった。各々の政府系金融機関は,実績から判断してその期待に十分応えるだけの働きをしたと考えられる。各公庫等において,戦後の何十年かの間に情報生産のためのノウハウが蓄積され,融資の現場にある年長者から若年者へと,ノウハウの多くは口伝という形で継承された。官業が民業に比較して非効率であるというよく普及した見解は,少なくとも80年代までの日本の金融業には該当しないようである。戦後わが国の公的金融は,民間の資金供給不足を補い,さらに民間銀行に代わって多くのリスクを引受け,日本の高度成長にとって金融面における主導的役割を果たした。その一方において,民間金融機関の情報生産ノウハウの蓄積と継承は,機関ごとに相当大きなばらつきのあったことが,90年代以降,マーケットの選別によって各機関の格付けや株価の違いとなって 表れ,また早期是正措置の発動などによって情報生産の優劣の差が次第に明らかとなってきた。西垣(2003)では,「直接融資では官民は競合的であっても,債務保証や証券化支援等の信用補完においては政府の「不確性」担保能力が民間に優越し官民は補完関係を築くことができる。したがって原則,政府系金融機関は信用補完活動に徹するべきである」という一つの結論を導いた。ただし,官民の情報スキルが同じであるという条件を付した。現実に照らせば,この前提条件が成立しない場合のことをもっと議論するべきであった。理由は,以下の2点である。まず,民間サイドの情報生産が不十分なまま行われる公的金融機関の信用補完活動は,最終的に国民の税金で損失が穴埋めされる危険がある。次に,民間機関が情報生産スキルを十分高めないまま,公的機関が信用補完活動に重心を移し,創業者支援を含む直接融資を削減させたとしたら,システム全体として産業が必要とするに十分な金融仲介が行われなくなる危険がある。本稿はこれらの問題意識に基づいて,特に中小企業を対象とした政策金融に的を絞り,進行中の「改革」について提言を行う。第2節では,公的金融および政策金融の改革が求められるようになった根拠について整理する。第3節では,実際の改革がこれまでどのように行われ,今後どのように進められようとしているのかについてまとめる。第4節では,中小企業政策金融の改革が,今後どのように進められるべ きかについて考察する。そこで西垣(2003)よりも情報生産に関する論点をより明示的に扱った分析を試みる。第5節ではマーケット重視の経済システムで中小企業政策金融に期待される新機能について,その可能性を探る。最終第6節は本稿の結論である。
Published Date
2008-03
Publication Title
岡山大学経済学会雑誌
Publication Title Alternative
Okayama economic review
Volume
volume39
Issue
issue4
Publisher
岡山大学経済学会
Publisher Alternative
The economic association of okayama university
Start Page
123
End Page
150
ISSN
03863069
NCID
AN00032897
Content Type
Journal Article
language
日本語
Copyright Holders
岡山大学経済学会
File Version
publisher
Refereed
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Eprints Journal Name
oer